視察研修会の報告 伊那食品工業株式会社 視察研修会報告 日 時 : 平成21年1月16日 13:00~17:30 場 所 : 長野県伊那市 伊那食品工業株式会社 参加者 : 33名(鬼澤代表理事・事務局含む) 内 容 : 施設見学 塚越会長談話 社員の方への質疑応答 当日は清々しい天気に恵まれ、茨城から長野という遠距離にもかかわらず、お申し込みいただいた方全員にご出席いただき、無事開催されました。 最初に40分ほどかけて、敷地内の施設を塚越専務の案内で見学をさせていただきました。 その後、塚越会長に、経営に対する考え方や哲学について、90分ほどご講話いただきました。これまで本やビデオ、塚越専務のご講演などを見聞きしてきましたが、実践してきたご本人から、そして実践の現場で拝聴すると、今までとは違った巌築と納得がありました。そして改めて多くの学びがありました。 文章にすると書ききれませんので私の印象に残ったことを中心に列挙させていただきます。 ・景気が良くて伸びるのは、自分の「力」ではない。 ・経営力とは、会社の適正成長率を見定めること。成長率はできるだけ低いほうが良い。 長きに亘って末広がりを目指す。遠きをはかる。20年先を見ている。 ・年輪経営。人間の営みも自然の一部。木は大きくなるほど年輪の幅は小さくなる。 しかし、幅は小さくなるが、太いのでボリューム(1年分の面積)は大きい。 ・会社は人の幸せのためにある。企業は大きいことが尊いのではなく、永続することが尊い。 ・首切りとは、経営者がやってはならないもっとも恥ずべき行為。人の生きる権利を奪う低能な経営者である。 利益を上げることが有能だと勘違いしている。 ・社員教育とは、人としての土台をつくること。 ・社員が社会人として立派であることを自慢にしている。 ・立派とは、大きいことではなく、人に迷惑をかけないこと、人の役に立てること。 ・成長とは、人の役に立てるようになること。また、そう思えるようになること。 ・性善説の経営。信頼する、信頼を裏切らない。そうすると社員も自然と手を抜かなくなる。 ・年功序列。評価する人によって評価が変わるような制度はつくらない。 経験が長いということ自体に必ずスキルに勝る優れた点がある。 ・ファミリーとは、一生その人の面倒を見ること。 ・原点回帰。理念を忘れず、コツコツ取り組む。変えられることから変えていく。 ・売れる量が決まっていても、安定して利益を出せる仕組みが必要。 聴講された方によって、心に残ったことは異なると思いますが、まとめると以上のようなお話がありました。 その後、休憩(かんてんぱぱショップの見学・買い物)をはさんで、塚越専務と社員の方3名(内2名が転職者)への質疑応答がありました。(社員の方は、当日指名され、もちろん事前打ち合わせもありません。) 参加者の多くの方は、当初、塚越会長の講話を受けて「本当にそんな理想的な経営が行われているのか?」というような狐につままれた状態だったのではないかと思います。質問もその点を確認するような内容が多かったように思います。 しかし、3名の社員の方からの回答は、会長や専務のお話、本やビデオの情報とまったく矛盾していませんでした。 応答の内容をいくつか挙げてみます。 ・具体的な仕事上の命令はない。夢や目的・目標を語り、協力してほしいと言われる。 ・忙しいときには前工程の人が自分の仕事が終わると後工程の手伝いに(自主的に)やってきて 「どこにこんな人数がいたんだ」と思うほどになる。 ・伊那食品に来て社会人として成長できたと実感できる。 ・数字は問われない。量より営業先に提案が受け入られることを評価する。 ・会長の著書「いい会社をつくりましょう」を昼休みにチームで読み合わせをして、自分には何ができるかを 考えている。 どこか信じられない部分がありましたが、90分間、笑顔で一切ぶれない質疑応答に、現実を受け入れるしかありませんでした。 この質疑応答で感じたのは、社員の皆さんの回答に、「言葉では表現しにくい」とか「一言では難しい」といった言葉が多かったこと。 これは伊那食品工業を取り巻く、優しさやお互いを思いやる気持ち、そして信頼しあった関係というような「風土」があり、説明のできない「空気」を、社員全員が共通して肌で感じているということなのではないかと思います。 仕組みではなく、人間形成を第一に考えてきた人材育成の経営。それが伊那食品工業の良さ(職場環境・業績ともに)なのでしょう。 この質疑応答を通して、参加者の皆さんは、理想的な経営が実践されていることが確信に変わったのではないでしょうか。 私もこれまで、塚越会長の著書「いい会社をつくりましょう」や雑誌記事等を読んだり、教育ビデオ「DO IT!」を見たり、茨城県経営品質協議会月例会における塚越専務の講演を拝聴したりしていましたが、どれも理想論に思えて漠然と理解できない部分がありましたが、この視察研修会を通して腑に落ちたような気がしました。 やはり、ただ見聞きして評論することと、実際に目で見て体感することは次元が違います。今後も茨城県経営品質協議会としても、このような機会を作っていければよいなと感じました。 (運営委員 榎本崇宏)
視察研修会の報告 伊那食品工業株式会社 視察研修会報告 日 時 : 平成21年1月16日 13:00~17:30 場 所 : 長野県伊那市 伊那食品工業株式会社 参加者 : 33名(鬼澤代表理事・事務局含む) 内 容 : 施設見学 塚越会長談話 社員の方への質疑応答 当日は清々しい天気に恵まれ、茨城から長野という遠距離にもかかわらず、お申し込みいただいた方全員にご出席いただき、無事開催されました。 最初に40分ほどかけて、敷地内の施設を塚越専務の案内で見学をさせていただきました。 その後、塚越会長に、経営に対する考え方や哲学について、90分ほどご講話いただきました。これまで本やビデオ、塚越専務のご講演などを見聞きしてきましたが、実践してきたご本人から、そして実践の現場で拝聴すると、今までとは違った巌築と納得がありました。そして改めて多くの学びがありました。 文章にすると書ききれませんので私の印象に残ったことを中心に列挙させていただきます。 ・景気が良くて伸びるのは、自分の「力」ではない。 ・経営力とは、会社の適正成長率を見定めること。成長率はできるだけ低いほうが良い。 長きに亘って末広がりを目指す。遠きをはかる。20年先を見ている。 ・年輪経営。人間の営みも自然の一部。木は大きくなるほど年輪の幅は小さくなる。 しかし、幅は小さくなるが、太いのでボリューム(1年分の面積)は大きい。 ・会社は人の幸せのためにある。企業は大きいことが尊いのではなく、永続することが尊い。 ・首切りとは、経営者がやってはならないもっとも恥ずべき行為。人の生きる権利を奪う低能な経営者である。 利益を上げることが有能だと勘違いしている。 ・社員教育とは、人としての土台をつくること。 ・社員が社会人として立派であることを自慢にしている。 ・立派とは、大きいことではなく、人に迷惑をかけないこと、人の役に立てること。 ・成長とは、人の役に立てるようになること。また、そう思えるようになること。 ・性善説の経営。信頼する、信頼を裏切らない。そうすると社員も自然と手を抜かなくなる。 ・年功序列。評価する人によって評価が変わるような制度はつくらない。 経験が長いということ自体に必ずスキルに勝る優れた点がある。 ・ファミリーとは、一生その人の面倒を見ること。 ・原点回帰。理念を忘れず、コツコツ取り組む。変えられることから変えていく。 ・売れる量が決まっていても、安定して利益を出せる仕組みが必要。 聴講された方によって、心に残ったことは異なると思いますが、まとめると以上のようなお話がありました。 その後、休憩(かんてんぱぱショップの見学・買い物)をはさんで、塚越専務と社員の方3名(内2名が転職者)への質疑応答がありました。(社員の方は、当日指名され、もちろん事前打ち合わせもありません。) 参加者の多くの方は、当初、塚越会長の講話を受けて「本当にそんな理想的な経営が行われているのか?」というような狐につままれた状態だったのではないかと思います。質問もその点を確認するような内容が多かったように思います。 しかし、3名の社員の方からの回答は、会長や専務のお話、本やビデオの情報とまったく矛盾していませんでした。 応答の内容をいくつか挙げてみます。 ・具体的な仕事上の命令はない。夢や目的・目標を語り、協力してほしいと言われる。 ・忙しいときには前工程の人が自分の仕事が終わると後工程の手伝いに(自主的に)やってきて 「どこにこんな人数がいたんだ」と思うほどになる。 ・伊那食品に来て社会人として成長できたと実感できる。 ・数字は問われない。量より営業先に提案が受け入られることを評価する。 ・会長の著書「いい会社をつくりましょう」を昼休みにチームで読み合わせをして、自分には何ができるかを 考えている。 どこか信じられない部分がありましたが、90分間、笑顔で一切ぶれない質疑応答に、現実を受け入れるしかありませんでした。 この質疑応答で感じたのは、社員の皆さんの回答に、「言葉では表現しにくい」とか「一言では難しい」といった言葉が多かったこと。 これは伊那食品工業を取り巻く、優しさやお互いを思いやる気持ち、そして信頼しあった関係というような「風土」があり、説明のできない「空気」を、社員全員が共通して肌で感じているということなのではないかと思います。 仕組みではなく、人間形成を第一に考えてきた人材育成の経営。それが伊那食品工業の良さ(職場環境・業績ともに)なのでしょう。 この質疑応答を通して、参加者の皆さんは、理想的な経営が実践されていることが確信に変わったのではないでしょうか。 私もこれまで、塚越会長の著書「いい会社をつくりましょう」や雑誌記事等を読んだり、教育ビデオ「DO IT!」を見たり、茨城県経営品質協議会月例会における塚越専務の講演を拝聴したりしていましたが、どれも理想論に思えて漠然と理解できない部分がありましたが、この視察研修会を通して腑に落ちたような気がしました。 やはり、ただ見聞きして評論することと、実際に目で見て体感することは次元が違います。今後も茨城県経営品質協議会としても、このような機会を作っていければよいなと感じました。 (運営委員 榎本崇宏)