ザ・リッツ・カールトン大阪滞在記 / 末松 清一 氏

2000年度(13th)MB賞報告会&受賞企業訪問ツアー報告
末松 清一 氏

補章 ザ・リッツ・カールトン大阪滞在記

4月29日夕刻に無事、帰国。皆さん、ご苦労様でした。

5月1日から連休の谷間を縫って大阪で仕事がありました。
パサデナのリッツ(ザ・リッツ・カールトン・ヘンディントン・ホテル&スパ)に泊まった勢いでこれまで、実現していなかった「ザ・リッツ・カールトン大阪」に滞在してみました。
パサデナのリッツ(ザ・リッツ・カールトン・ヘンディントン・ホテル&スパ)でのQ&Aの聞き逃しの確認もあり、大阪のクオリティ・担当部長の桧垣さんに急遽、会談を申し込みました。

5月1日午前11時半。午後からの仕事を控え、荷物をあずける。(チェックインは14時です。)
一番初めに出会ったロビーにいた社員の方に、荷物を預け、「クオリティ・マネジャーに会いたい」と伝言をして市内へ。
「ザ・リッツ・カールトン大阪」は典型的なリッツ・カールトン仕様のようです。1階のロビーやラウンジ・5階のレストラン・フロアはサンフランシスコ(ザ・リッツ・カールトン・サンフランシスコ)と同様に木目仕様で高級感があります。
午後の仕事を終えて、午後6時前にチェックインしたら、先にチェックインしていた家内が、「何度も電話がありました」とのこと。早速、クオリティ・担当部長の桧垣さんとのミーティング。

1. ロスで疑問を残した「リッツ・カールトン・ミスティーク(神秘性)」についてのコメント。
「ミスティークはお客様によって異なります。そのお客さまが『どうして?』と驚くことがミスティーク」とのこと。例えば、私がチェックインすると、当たり前かもしれないが「奥様は先ほどチェックインされています」とロビーの社員から声が掛かる。

2. サービスの基本は社員満足。
「エンパワーされていない社員は決して顧客満足を実現できない。」「いくらお客さま満足と教育しても、バックヤードで上司から怒鳴られていては心からのサービスは出来ない。」これも、そのとおり。
上司の判断を仰がないで、お客の要望にその場で対応する。自分の仕事は投げ打って」まず、お客の希望に添った行動を取る。このことはこれまでのリッツで何度も体験済みです。

3. サービスや料理にうるさい、わが社の取締役は「気取っていないけど、心からサービスしていることがわかる。サービスしている人も気持ちがいいのじゃないか。東京の一流ホテルは気取ってばかりいて、こちらが頭に来ることも多いがここはそれがない。」といたく、気に入った様子。

4. 「お客様がチェックインされた時に、『ミスティーク』を感じ、お客さまの満足度を高め続ける。滞在中にどんなことであっても、お客様の満足が途切れることは間違いで、チェックアウトの瞬間が最高の満足であることが理想。」
そういわれると、2泊3日の間、意識的に観察しながら、いろいろなことを体験してみたけれど、「何これ!」という経験は皆無でした。普通、一流ホテルといわれるところでも、3日も居ると、1つくらいは「変」と感じることがあるものですが、「ザ・リッツ・カールトン大阪」では皆無でした。

5. パサデナのリッツ(ザ・リッツ・カールトン・ヘンディントン・ホテル&スパ)から情報が入っていたのか。
私の言葉が一瞬でホテル内に共有化されたのか、何人かの社員から「パサデナのリッツ(ザ・リッツ・カールトン・ヘンディントン・ホテル&スパ)はいかがでしたか?なにか、お困りのことはありませんか?」と声をかけられました。

6. クオリティ担当部長の桧垣さんとの話の中で、
2泊すること、5月2日も午前は仕事で、午後からユニバーサル・スタジオへいくこと、3日は京都で遊ぶことなどを世間話風にしていました。すると、1日の夜、夕食を済まして、部屋へ帰ると、「チーフ・コンシェルジェの前田」さんの名前で、封書が届いています。中には「ユニバーサル・スタジオへ行く時刻表と案内、京都の観光資料とメッセージ」が添えられています。ここまでするか!

7. この感覚は、サンフランシスコ(ザ・リッツ・カールトン・サンフランシスコ)やロス(ザ・リッツ・カールトン・ロスアンジェルス・マリナ・デル・レイ)」で感じたあの「安心と感動」と同じモノです。
決して気取っていない、むしろ、とてもアットホームで安心感がある。一方で、見事なまでの気配り。

8. MB賞2度受賞の世界標準が、サービスや料理、気配りの隅々まで、浸透していました。

9. 私たちのパサデナ訪問(ザ・リッツ・カールトン・ヘンディントン・ホテル&スパ)に関して、Ms.ビクトリア(ザ・リッツ・カールトン・ヘンディントン・ホテル&スパのクオリティ・ディレクター:私たちとのQ&Aを担当していただいた方)から桧垣さんへいろいろと問い合わせが来ていたようですし、ザ・リッツ・カールトン・ヘンディントン・ホテル&スパのジェネラル・マネジャーは大阪の立ち上げを経験した人とのことで、日本人の心情を良く捉えていて、あのザ・リッツ・カールトン・ヘンディントン・ホテル&スパの対応は「なるほど」と納得しました。

10. しかし、「寿司とスーパードライ」の件は桧垣さんもご存知なかった様で、「それはヴィクトリアの隠しダマですねえ」と言われていました。

11. アメリカの「リッツ」と比べると、言葉の安心感があることは差し引くとしても、「ザ・リッツ・カールトン大阪」は、やはり、「日本人らしいきめ細かい心配りがありました。料理の味は大阪らしく素晴らしいです。「日本人の好みを取り込んだ『「リッツ・スタンダード」、それが、座『ザ・リッツ・カールトン・ホテル・大阪』といえそうです。
ここ、「ザ・リッツ・カールトン大阪」には、MB賞や日本経営品質賞の「顧客本位」「社員重視」「独自能力」の真髄を体現した組織が現実に存在し、日々、改善・向上に努めていると姿がみられます。サービス業に携わる関係者に限らず、経営品質向上に取り組む多くの方が訪問し、体験して欲しいホテルと思います。

以上。

末松 清一 拝

第1章 クエスト会議レポート1
第2章 クエスト会議レポート2
第3章 トライデント・プレシジョン・マニュファクチャリング社(1996年MB賞受賞企業)訪問
第4章 ザ・リッツ・カールトン・ヘンディントン・ホテル&スパ


(注) リッツ・カールトン・ホテルの信条「クレド」を下記の画像で紹介しておきます。
クレド