ミスティーク・ツアーに参加して / 宮澤 美恵子 さん ザ・リッツ・カールトン大阪・ミスティーク・ツアー 宮澤 美恵子 さん (2002/03/19 update) 2002年2月26~27日に、「ザ・リッツ・カールトン大阪・ミスティーク・ツアー」を企画いたしました。参加メンバーを代表して宮澤美恵子さんがレポートを作成してくださいました。 多くの皆さまにご覧いただきたいと思います。宮澤さん、ありがとうございました。 --------------------------------------------------------------------------------------------------- 茨城県経営品質協議会の代表幹事である、鬼澤慎人氏が企画した、「ザ・リッツ・カールトン大阪 ミスティーク・ツアー」に参加してきました。そのレポートをお送りいたします。 私は第一班(2月26日―27日)に参加しました。 この班には、栃木県経営品質協議会の井上さんや経営品質アセッサー協議会福井支部長の訳合さんなど経営品質の関係者が多く、「価値」を共有できるメンバーだったことも幸いしてか、有意義なものとなりました。 私は、一足早く前日から大阪にはいっておりましたので、ホテルに到着したのは集合時刻より1時間ほど早い13時でした。 どこへ行くにも荷物の多い私は、セミナー会場までドアボーイの方が荷物を持って案内してくださり助かりました。 桧垣さんと鬼澤さんは、事前の打ち合わせがおありのようでしたので、集合時刻までの間、館内を見学してみました。 一通り見学した後に、1階のザ・ロビー・ラウンジで、「パソコンが使いたいので少し明るい席に」とお願いしたところ一番奥の窓際の席に案内してくださいました。 紅茶をオーダーしましたが、さめないように下からポットをランプで温めておけるようになっていて細かい心配りだと思いました。 以下 14時からのセミナー&宿泊&チェックアウトまでを時間を追ってレポートします。 特にラインナップでの様子とホテル内見学で直接お話をうかがったスタッフの方のコメントを中心にレポートします。 ◆1日目 ○会場 2Fガーデンルーム ○時間 14時―17時 ○内容 ●鬼澤さんのオープニングスピーチ。 ●参加者全員の自己紹介。(参加の動機と今回のツアーへの期待など) ●クオリティ担当部長 桧垣真理子さんのセミナー ・ザリッツカールトンホテルカンパニーピラミッドについて ・目標/戦略/クレド/モットー ・従業員への約束(従業員への約束は当初明確には定義されておらず後から追加されたとのこと) ・サービスの3ステップ ・20のベーシック ・人事の4つのキープロセス(クウォリティーセレクションプロエセスとは) ・Q&A(詳しい内容は後述) 私は「ベーシック20」の9番について質問しました。 たまたまこの日のベーシックは「9番」、この「ラテラル・サービス」でした。 「誰かがお客様のために職場を離れた場合、その後にいらしたお客様にご不便をおかけすることはないのですか?」という質問をしました。 桧垣さんの回答は「20のベーシックをひとりひとりがしっかりと理解しているので お互いにカバーしあうことが当たり前になっている。喜んでカバーしあうという文化がある。」ということでした。 エンパワーメント(権限委譲)とは、「ルールを作って行動させること」であるが、ザ・リッツ・カールトンの場合は、「判断するところから委ねている」とのこと。 会社の理念を理解し、目標を共有することができるタレントであるかどうかを見極める採用のプロセスがあり、社員を信頼すればこそであると感じました。 ●スタッフの木原さんへのインタビュー 木原さんはクラブラウンジ担当のコンシェルジェ。かわいらしい和服で登場。 「日本ならではの文化を伝える」ということで クラブラウンジのコンシェルジェは、和服が制服になっているとのこと。 木原さんもとても気に入っていらっしゃるそうです。 木原さんは、外国からいらしたお客様のため日本語でコカコーラと書いてある瓶を探してお客様が大変喜んだ、というお話で登場する方です。 ご自身の仕事に対する想い、「20のベーシック」の中でも、「大好きなラテラル・サービス」(ベーシックの9番)について語ってくださいました。従業員同士の支援が感動を生むのですね。 ●17時―18時 二組に分かれて館内を見学。 私は一班でした。 コースは、 5階にある和食レストラン「花筐」(はながたみ)でのラインナップ風景見学 → エグゼクティグスイート(一泊9万円) → ザ・リッツ・カーツトン・スイート(一泊45万円のお部屋) → 正面玄関・ロピー → 地下一階従業員食堂 → 2階ザ・グランド・ボールルーム前ホワイエ → 6階チャペル <感想> ●和食レストラン「花筐」(はながたみ)での「ラインナップ」見学 「ラインナップ」のリーダーは太田さん。 10数名の怖いゲスト?がいたせいか、緊張なさっていましたが、私たち見学者の紹介や何を目的にこのツアーに参加しているかを簡単にスタッフの方に紹介してくださったあとに、通常の「ラインアップ・ミーティング」へ。 「ベーシックの9番」である「ラテラル・サービス」の良い面・悪い面、具体的に自分はどのように行動したかなどを太田さんから指名されたスタッフがそれぞれ発表して行きます。 この方法はとても良いと感じました。多くの会社でおこなわれる朝礼のようなものは、そのほとんどが上司が部下への連絡事項を述べたり、ちょっとした仕事に関する講和をしたりということに使われていると思います。 「あ~朝からかったるいから早くおわらないかな~」と思っている人が案外多いのではないでしょうか。 大久保さんが講演で仰っていたことが想い出されます。 「10回言ってもだいたい社員は聞いていないことが多い」。 その通りだと感じました。 こうやって自分の意見を述べることで、「考える力」「考えを簡潔にまとめる力」「人に伝える力」を自然と身につけていくことになりますね。 また、「ラインナップ」のリーダーは、会社での経験が長い・短いといった関係ではなく、ひとつの「場」をしきるスキルを身に付けられる、いう意味で貴重な経験だと思いました。 一人一人がその場をまかされるリーダー=お客様一人一人に対面しているその人が会社の顔となれるような仕掛け、だと感じました。 ●ザ・リッツ・カールトン・スイート ここでは「DO IT!」のビデオに登場する、ハウスキーパーの小泉さんに直接お目にかかってお話を伺うことができました。きれい好きを絵にかいたような方で、ヘアスタイルはザ・リッツ・カールトン大阪の身だしなみの見本とされているそうです。 普通のお部屋は一人で60分ぐらいかけてお掃除とセッティングをするそうです。 このザ・リッツ・カールトン・スイートは4名のチームで担当するとのこと。 もともとお掃除や片付けることが好きなので選んだ仕事だそうですが、このホテルで働くこと自体にとても悦びを感じていらっしゃるそうです。 パートである自分たちにも会社の経営から収益・問題点などもすべて共有させてくれるので、ホテルのためにがんばろうという気持ちになるとおっしゃっていました。 黒地に白い襟のついた制服もとても似合っていらして素敵でした。 小泉さん以外にも、廊下ですれ違うハウスキーピングの皆さんが、手を止め立ち止まって挨拶をしてくださって本当に気持ちがよいです。そしてそれぞれの時間帯で挨拶がかわります。 到着したときは「いらっしゃいませ。」 朝でも荷物を持っていなければ「おはようございます。いってらっしゃいませ。」 夕方近くは「おかえりなさいませ。」 チェックアウトをするために荷物を持って部屋をでると「ありがとうございました。お気をつけてお帰りください。」 お客様の状態にあわせるというのは素晴らしいと思いました。 ●正面玄関・ロビー フロントなどにも特に案内表示をだしていません。普通ホテルには、結婚式や宴会の予定がロビーなどに掲示されていますが、「ザ・リッツカールトン大阪」には、それもありません。 これは、人工的なものは極力排除する、という方針とのことです。 その代わり、スタッフの方が玄関やロビーに出ていらして、お客様がいつでも尋ねることができるような体制をとっているそうです。お客様との接点を増やすという戦略ですね。 接点をもったスタッフの方は、必ずお客様が行きたいところまで連れて行ってご案内する。 これも宿泊中に何度か経験しましたが徹底されていました。 ●地下従業員食堂 700名のスタッフが働いている割には、こじんまりとした食堂でした。が、それは、シフト勤務が多いため一度に多くのスタッフが顔をそろえることがないせいだと感じました。 案内してくださったセールス&マーケティング部の松坂さんに、 『「DO IT!」のビデオに登場するすばらしい社員を表彰するファイブスターに選ばれたスタッフの方はいらっしゃいますか?』 と伺うと、さっそく中を覗いて、わざわざ呼んで来てきてくださいました。 働く方にとっては癒されるお母さんのような雰囲気の方でした。 食堂の入り口の壁にはお客様からのお礼状などがオリジナルのまま張ってありました。 ●ザ・グランド・ボールルーム前 ホワイエ 大阪でも一番といえるぐらいの規模の宴会場とのこと。 人工的なものは極力排除するというポリシーからすれば本来はエスカレーターは設置しないそうですが、やはり多くのお客様をエレベーターでご案内するには限界があること、かといって階段をご利用いただくのはお年を召した方にはご不便とのことで、ロビーからは見えないところにこっそりエスカレーターが設置されています。 それぞれのフロアーにかけられている絵画を観るのも楽しいです。 レストランのフロアーは動物に関連する絵画・宴会場は肖像画というようにそれぞれテーマがあるそうです。 ●セミナー会場に戻り、ルームキーを受け取ってエレベーターで各部屋へ エレベーターが開くと、普通なら1階のフロントデスクにいるスタッフの方が、「水谷様、宮澤様、いらっしゃいませ」と迎えてくれました。これも「ミスティーク」ですね。 ■18時30分―20時30分 ●ザ・ワイン・バーでの懇親会 ホテル側から桧垣さん、フロント支配人の和田さん、桧垣さんのアシスタントの方がご出席くださいました。 私はフロント支配人の和田さんが隣に座られたので、フロント支配人ならではやりがいやご苦労なども直接伺うことができ有意義でした。 ■20時30分― 5階ザ・バー個室にて2次会 これは、私から「ホテルの近辺で皆さんとワイワイ騒げる場所はありませんか?」と桧垣さんにお尋ねしたところ、「それならせっかくなので、ホテルのバーでいかがですか?」と特別に手配してくださいました。 第1班は経営品質関係者が多く、やはり価値観を共有している仲間だと、建設的な意見がでて、とても愉しいひとときでした。福井キャノンの玉木さんのホームページで紹介されている、新湊青年会議所の方と意気投合してしまいました。 ◆2日目 ■6時30分―9時 ●1階スプレンディドの朝食ブッフェ このブッフェは「一度は食べたいザ・リッツの朝食ブッフェ」と関西の女性の間では噂になっているとか。 オーガニックの素材をつかったサラダ、シェフが焼いてくださる卵料理やパンケーキ。鬼澤さんお勧めのワッフル・定番のソーセーやベーコン類、どれもおいしくてじっくり時間をかけて召し上がることをお勧めします。 私は少し?朝寝坊してしまったためにあまり時間がとれず残念でした。 特においしかったのは「野菜のマリネ」で絶妙な味でした。 他のメンバーに乗り遅れてしまった私は、一人で朝食をとっていたら一息ついた頃に、前夜、ザ・ワインバーでサービスしてくださったウェイターの方が「昨夜はありがとうございました。ゆっくりお休みになれましたか?」と声をかけてくださいました。 ■9時―10時 ●1階ザ・ロビー・ラウンジ 二日間の滞在を振り返ってのQ&A。 各メンバーから個別に質問がされ桧垣さんからお答えをいただきました。(後述) そして最後に出ました、とっておきの「Mystique」。 前日のセミナーにおいて、全員が桧垣さんから誕生日を聞かれました。 「何かしら?」と思っていたのですが、誕生日の日にち早い順にセミナー会場での座席を決めるというアイデアでした。おもしろいな、と思っていたのですが、やはり伏線でした・・・。 この締めくくりのミーティングの最後に、一番間近に誕生日を迎える方に、「ザ・リッツカールトン大阪」からケーキのプレゼントがありました。ハッピーバースディを歌い、ローソクを吹き消し。拍手をして2日間のツアーが終わりました。 私はそのあと名残惜しくて目いっぱいホテルでのステイを楽しみましたので「おすそ分け」(桧垣さん風に)をさせていたします。 ●解散後 チェックアウトまで1時間半ありましたのでフィットネスの見学へ行きました。 水着を500円で貸し出ししてくださるとのことでしたので、「せっかくだから・・・」と、ブラザー工業の水谷亮子さんと泳ぐことにしました。 プールも良かったのですが、外のジャグジーがお勧めです。 都会の真中で、しかも周りのビル中で仕事をしている人を横目にジャグジーに入ってリラックスするなんて、申し訳ないけれど本当に贅沢な気分でした。 22時まで利用できるそうですから、今度泊まることがあれば夜景を眺めながらジャグジーに入りたいと思いました。 知人との待ち合わせもホテルのロビーにしました。 「せっかくだから」という浅川さんの事前のアドバイスもあり、お昼は「花筐」で天ぷらのランチにしました。 (「花筐」については、『慮る力』(おもんばかるちから)という本に紹介されています。ぜひご一読されるとよろしいかと思いますよ) 板前さんがひとつひとつ丁寧に素材の説明をしてくださいました。 普通の天ぷらよりも胃にもたれないのは紅花油だけで揚げているからだそうです。仕上げは、出し汁をかけていただく「かき揚げ丼」。 「絶対においしいですよ。」という板前さんの 自信の一言を裏切らず、本当にさっぱりした感じでもう少し食べたいという気にさせます。 サービスしてくださったのが前日の「ラインナップ」でリーダーをしていらした太田さんでした。 デザートは「別室のソファーのあるところでゆっくり召し上がっていただくこともできますが?」と案内してくださいました。 「ラインナップ」を見学していたことも覚えていて、「緊張しました」とおっしゃっていました。 少し話が長引くとソファに座っている私たちを見下ろす形になってしまいますので、必ずひざをついて目線を下げるようにしているところが「徹底されているな~」と感心しました。 本当は「ラインナップ」の時間には、もうひとつ「自分のトピックス」を発表す時間があるそうです。 「昨日は時間がなくてできませんでしたが・・・」・と教えてくれました。 話題は何でもよくて、自分が興味をもっていること、最近感じたこと、などを短い時間で発表するのだそうです。 これは、お互いの感性を理解しチームワークを高める上でとてもよい仕掛けだ、とまたまた感心しました。 荷物をホテルに預け、大阪の街で半日過ごした後、ホテルにもどり関西空港行きのバスが出るまでの時間をまたザ・ロビー・ラウンジで過ごしました。 カクテルを頼んだときに出てきたオリーブがとてもおいしいので、「ホテルのブティックで買えますか?」と伺ったところ、レストランの手作りだそうで残念ながら販売はしていないとのことでした。 がっかりした私の顔をみてウェイトレスの方が「よろしければもう少し持ってきましょうか?」と聞いてくださって嬉しかったです。 次回はもっとゆっくりステイを楽しみに、皆さんお勧めのアロマ・マッサージも試すためにザ・リッツ・カールトンに帰りたいと心から思いました。 <セミナーでの桧垣さんのコメントやQ&A> (全てをメモしてきませんでしたので 抜けているところも多いのですがご容赦ください。) ●価値観について 社内にルールがあるとすれば価値を実践するもの以外にない。 満ち足りた幸福感や密接なコミュニケーションを大切にしている。 スタッフはお互いを尊重する。人種や話すことばが違っても価値観が共有できていればOK 従業員同士があいさつすることができる環境かどうかがとても大切。 コストはお客様のニーズがわかっていればかえってかからない。 少しのコストでも口コミをしてもらえれば広告宣伝費がかからない。 ●採用のプロセスについて 共感する資質があるかどうか 向上心があるかどうか 人の言葉に素直に耳を傾けることができるかどうか 考え方を見た上で採用する。 2日間のオリエンテーションはクレド 価値観のみ学ぶ。 「デイ21」ではオリエンテーションんで学んだことを再度確認する。 選んで採用しているので、そのスタッフがもしも誤った行動をとったとしても、コミュニケーションを図りながら解決することができる。=人の言葉に素直に耳を傾けることができる人を採用している。行動心理学に基づき、実際にリッツ・カールトンで成功している社員が持ち合わせる共通の資質をもとにつくられた一連の質問を通して見つけ出すもの。 認定を受けた面接官しかできないインタビューである。 ●桧垣さんのチームの仕事は? (1)クウォリティーの定着 (2)問題解決手法のトレーニングや改善のためのプロジェクトに関わることもある (3)データの分析・SQIやJDパワの満足度調査結果の社内へのフィードバック 会社としてビジネスにおいて成功するためにはやはり数字で結果を残さなければならない。マネジメントの評価基準は当然顧客満足度の結果も対象になっている。 ●問題解決6つのステップ (1)問題を明確にする (2)分析する。QCのフィッシュボーンなども利用することもある。 (3)解決策を生み出す。(ブレインストーミングなど) (4)解決策を選んでプランニングする。 (5)実行・導入 (6)評価する。 特に(1)~(3)のプロセスに時間をかける。 ●MB賞を受賞したときのフィードバックレポートには何が指摘されていたのか? 内部的なプロセスの更なる向上が求められており、具体的には新しいピラミッドでも、仕事の手順など内部プロセスの向上がとりあげられている。
ミスティーク・ツアーに参加して / 宮澤 美恵子 さん ザ・リッツ・カールトン大阪・ミスティーク・ツアー 宮澤 美恵子 さん (2002/03/19 update) 2002年2月26~27日に、「ザ・リッツ・カールトン大阪・ミスティーク・ツアー」を企画いたしました。参加メンバーを代表して宮澤美恵子さんがレポートを作成してくださいました。 多くの皆さまにご覧いただきたいと思います。宮澤さん、ありがとうございました。 --------------------------------------------------------------------------------------------------- 茨城県経営品質協議会の代表幹事である、鬼澤慎人氏が企画した、「ザ・リッツ・カールトン大阪 ミスティーク・ツアー」に参加してきました。そのレポートをお送りいたします。 私は第一班(2月26日―27日)に参加しました。 この班には、栃木県経営品質協議会の井上さんや経営品質アセッサー協議会福井支部長の訳合さんなど経営品質の関係者が多く、「価値」を共有できるメンバーだったことも幸いしてか、有意義なものとなりました。 私は、一足早く前日から大阪にはいっておりましたので、ホテルに到着したのは集合時刻より1時間ほど早い13時でした。 どこへ行くにも荷物の多い私は、セミナー会場までドアボーイの方が荷物を持って案内してくださり助かりました。 桧垣さんと鬼澤さんは、事前の打ち合わせがおありのようでしたので、集合時刻までの間、館内を見学してみました。 一通り見学した後に、1階のザ・ロビー・ラウンジで、「パソコンが使いたいので少し明るい席に」とお願いしたところ一番奥の窓際の席に案内してくださいました。 紅茶をオーダーしましたが、さめないように下からポットをランプで温めておけるようになっていて細かい心配りだと思いました。 以下 14時からのセミナー&宿泊&チェックアウトまでを時間を追ってレポートします。 特にラインナップでの様子とホテル内見学で直接お話をうかがったスタッフの方のコメントを中心にレポートします。 ◆1日目 ○会場 2Fガーデンルーム ○時間 14時―17時 ○内容 ●鬼澤さんのオープニングスピーチ。 ●参加者全員の自己紹介。(参加の動機と今回のツアーへの期待など) ●クオリティ担当部長 桧垣真理子さんのセミナー ・ザリッツカールトンホテルカンパニーピラミッドについて ・目標/戦略/クレド/モットー ・従業員への約束(従業員への約束は当初明確には定義されておらず後から追加されたとのこと) ・サービスの3ステップ ・20のベーシック ・人事の4つのキープロセス(クウォリティーセレクションプロエセスとは) ・Q&A(詳しい内容は後述) 私は「ベーシック20」の9番について質問しました。 たまたまこの日のベーシックは「9番」、この「ラテラル・サービス」でした。 「誰かがお客様のために職場を離れた場合、その後にいらしたお客様にご不便をおかけすることはないのですか?」という質問をしました。 桧垣さんの回答は「20のベーシックをひとりひとりがしっかりと理解しているので お互いにカバーしあうことが当たり前になっている。喜んでカバーしあうという文化がある。」ということでした。 エンパワーメント(権限委譲)とは、「ルールを作って行動させること」であるが、ザ・リッツ・カールトンの場合は、「判断するところから委ねている」とのこと。 会社の理念を理解し、目標を共有することができるタレントであるかどうかを見極める採用のプロセスがあり、社員を信頼すればこそであると感じました。 ●スタッフの木原さんへのインタビュー 木原さんはクラブラウンジ担当のコンシェルジェ。かわいらしい和服で登場。 「日本ならではの文化を伝える」ということで クラブラウンジのコンシェルジェは、和服が制服になっているとのこと。 木原さんもとても気に入っていらっしゃるそうです。 木原さんは、外国からいらしたお客様のため日本語でコカコーラと書いてある瓶を探してお客様が大変喜んだ、というお話で登場する方です。 ご自身の仕事に対する想い、「20のベーシック」の中でも、「大好きなラテラル・サービス」(ベーシックの9番)について語ってくださいました。従業員同士の支援が感動を生むのですね。 ●17時―18時 二組に分かれて館内を見学。 私は一班でした。 コースは、 5階にある和食レストラン「花筐」(はながたみ)でのラインナップ風景見学 → エグゼクティグスイート(一泊9万円) → ザ・リッツ・カーツトン・スイート(一泊45万円のお部屋) → 正面玄関・ロピー → 地下一階従業員食堂 → 2階ザ・グランド・ボールルーム前ホワイエ → 6階チャペル <感想> ●和食レストラン「花筐」(はながたみ)での「ラインナップ」見学 「ラインナップ」のリーダーは太田さん。 10数名の怖いゲスト?がいたせいか、緊張なさっていましたが、私たち見学者の紹介や何を目的にこのツアーに参加しているかを簡単にスタッフの方に紹介してくださったあとに、通常の「ラインアップ・ミーティング」へ。 「ベーシックの9番」である「ラテラル・サービス」の良い面・悪い面、具体的に自分はどのように行動したかなどを太田さんから指名されたスタッフがそれぞれ発表して行きます。 この方法はとても良いと感じました。多くの会社でおこなわれる朝礼のようなものは、そのほとんどが上司が部下への連絡事項を述べたり、ちょっとした仕事に関する講和をしたりということに使われていると思います。 「あ~朝からかったるいから早くおわらないかな~」と思っている人が案外多いのではないでしょうか。 大久保さんが講演で仰っていたことが想い出されます。 「10回言ってもだいたい社員は聞いていないことが多い」。 その通りだと感じました。 こうやって自分の意見を述べることで、「考える力」「考えを簡潔にまとめる力」「人に伝える力」を自然と身につけていくことになりますね。 また、「ラインナップ」のリーダーは、会社での経験が長い・短いといった関係ではなく、ひとつの「場」をしきるスキルを身に付けられる、いう意味で貴重な経験だと思いました。 一人一人がその場をまかされるリーダー=お客様一人一人に対面しているその人が会社の顔となれるような仕掛け、だと感じました。 ●ザ・リッツ・カールトン・スイート ここでは「DO IT!」のビデオに登場する、ハウスキーパーの小泉さんに直接お目にかかってお話を伺うことができました。きれい好きを絵にかいたような方で、ヘアスタイルはザ・リッツ・カールトン大阪の身だしなみの見本とされているそうです。 普通のお部屋は一人で60分ぐらいかけてお掃除とセッティングをするそうです。 このザ・リッツ・カールトン・スイートは4名のチームで担当するとのこと。 もともとお掃除や片付けることが好きなので選んだ仕事だそうですが、このホテルで働くこと自体にとても悦びを感じていらっしゃるそうです。 パートである自分たちにも会社の経営から収益・問題点などもすべて共有させてくれるので、ホテルのためにがんばろうという気持ちになるとおっしゃっていました。 黒地に白い襟のついた制服もとても似合っていらして素敵でした。 小泉さん以外にも、廊下ですれ違うハウスキーピングの皆さんが、手を止め立ち止まって挨拶をしてくださって本当に気持ちがよいです。そしてそれぞれの時間帯で挨拶がかわります。 到着したときは「いらっしゃいませ。」 朝でも荷物を持っていなければ「おはようございます。いってらっしゃいませ。」 夕方近くは「おかえりなさいませ。」 チェックアウトをするために荷物を持って部屋をでると「ありがとうございました。お気をつけてお帰りください。」 お客様の状態にあわせるというのは素晴らしいと思いました。 ●正面玄関・ロビー フロントなどにも特に案内表示をだしていません。普通ホテルには、結婚式や宴会の予定がロビーなどに掲示されていますが、「ザ・リッツカールトン大阪」には、それもありません。 これは、人工的なものは極力排除する、という方針とのことです。 その代わり、スタッフの方が玄関やロビーに出ていらして、お客様がいつでも尋ねることができるような体制をとっているそうです。お客様との接点を増やすという戦略ですね。 接点をもったスタッフの方は、必ずお客様が行きたいところまで連れて行ってご案内する。 これも宿泊中に何度か経験しましたが徹底されていました。 ●地下従業員食堂 700名のスタッフが働いている割には、こじんまりとした食堂でした。が、それは、シフト勤務が多いため一度に多くのスタッフが顔をそろえることがないせいだと感じました。 案内してくださったセールス&マーケティング部の松坂さんに、 『「DO IT!」のビデオに登場するすばらしい社員を表彰するファイブスターに選ばれたスタッフの方はいらっしゃいますか?』 と伺うと、さっそく中を覗いて、わざわざ呼んで来てきてくださいました。 働く方にとっては癒されるお母さんのような雰囲気の方でした。 食堂の入り口の壁にはお客様からのお礼状などがオリジナルのまま張ってありました。 ●ザ・グランド・ボールルーム前 ホワイエ 大阪でも一番といえるぐらいの規模の宴会場とのこと。 人工的なものは極力排除するというポリシーからすれば本来はエスカレーターは設置しないそうですが、やはり多くのお客様をエレベーターでご案内するには限界があること、かといって階段をご利用いただくのはお年を召した方にはご不便とのことで、ロビーからは見えないところにこっそりエスカレーターが設置されています。 それぞれのフロアーにかけられている絵画を観るのも楽しいです。 レストランのフロアーは動物に関連する絵画・宴会場は肖像画というようにそれぞれテーマがあるそうです。 ●セミナー会場に戻り、ルームキーを受け取ってエレベーターで各部屋へ エレベーターが開くと、普通なら1階のフロントデスクにいるスタッフの方が、「水谷様、宮澤様、いらっしゃいませ」と迎えてくれました。これも「ミスティーク」ですね。 ■18時30分―20時30分 ●ザ・ワイン・バーでの懇親会 ホテル側から桧垣さん、フロント支配人の和田さん、桧垣さんのアシスタントの方がご出席くださいました。 私はフロント支配人の和田さんが隣に座られたので、フロント支配人ならではやりがいやご苦労なども直接伺うことができ有意義でした。 ■20時30分― 5階ザ・バー個室にて2次会 これは、私から「ホテルの近辺で皆さんとワイワイ騒げる場所はありませんか?」と桧垣さんにお尋ねしたところ、「それならせっかくなので、ホテルのバーでいかがですか?」と特別に手配してくださいました。 第1班は経営品質関係者が多く、やはり価値観を共有している仲間だと、建設的な意見がでて、とても愉しいひとときでした。福井キャノンの玉木さんのホームページで紹介されている、新湊青年会議所の方と意気投合してしまいました。 ◆2日目 ■6時30分―9時 ●1階スプレンディドの朝食ブッフェ このブッフェは「一度は食べたいザ・リッツの朝食ブッフェ」と関西の女性の間では噂になっているとか。 オーガニックの素材をつかったサラダ、シェフが焼いてくださる卵料理やパンケーキ。鬼澤さんお勧めのワッフル・定番のソーセーやベーコン類、どれもおいしくてじっくり時間をかけて召し上がることをお勧めします。 私は少し?朝寝坊してしまったためにあまり時間がとれず残念でした。 特においしかったのは「野菜のマリネ」で絶妙な味でした。 他のメンバーに乗り遅れてしまった私は、一人で朝食をとっていたら一息ついた頃に、前夜、ザ・ワインバーでサービスしてくださったウェイターの方が「昨夜はありがとうございました。ゆっくりお休みになれましたか?」と声をかけてくださいました。 ■9時―10時 ●1階ザ・ロビー・ラウンジ 二日間の滞在を振り返ってのQ&A。 各メンバーから個別に質問がされ桧垣さんからお答えをいただきました。(後述) そして最後に出ました、とっておきの「Mystique」。 前日のセミナーにおいて、全員が桧垣さんから誕生日を聞かれました。 「何かしら?」と思っていたのですが、誕生日の日にち早い順にセミナー会場での座席を決めるというアイデアでした。おもしろいな、と思っていたのですが、やはり伏線でした・・・。 この締めくくりのミーティングの最後に、一番間近に誕生日を迎える方に、「ザ・リッツカールトン大阪」からケーキのプレゼントがありました。ハッピーバースディを歌い、ローソクを吹き消し。拍手をして2日間のツアーが終わりました。 私はそのあと名残惜しくて目いっぱいホテルでのステイを楽しみましたので「おすそ分け」(桧垣さん風に)をさせていたします。 ●解散後 チェックアウトまで1時間半ありましたのでフィットネスの見学へ行きました。 水着を500円で貸し出ししてくださるとのことでしたので、「せっかくだから・・・」と、ブラザー工業の水谷亮子さんと泳ぐことにしました。 プールも良かったのですが、外のジャグジーがお勧めです。 都会の真中で、しかも周りのビル中で仕事をしている人を横目にジャグジーに入ってリラックスするなんて、申し訳ないけれど本当に贅沢な気分でした。 22時まで利用できるそうですから、今度泊まることがあれば夜景を眺めながらジャグジーに入りたいと思いました。 知人との待ち合わせもホテルのロビーにしました。 「せっかくだから」という浅川さんの事前のアドバイスもあり、お昼は「花筐」で天ぷらのランチにしました。 (「花筐」については、『慮る力』(おもんばかるちから)という本に紹介されています。ぜひご一読されるとよろしいかと思いますよ) 板前さんがひとつひとつ丁寧に素材の説明をしてくださいました。 普通の天ぷらよりも胃にもたれないのは紅花油だけで揚げているからだそうです。仕上げは、出し汁をかけていただく「かき揚げ丼」。 「絶対においしいですよ。」という板前さんの 自信の一言を裏切らず、本当にさっぱりした感じでもう少し食べたいという気にさせます。 サービスしてくださったのが前日の「ラインナップ」でリーダーをしていらした太田さんでした。 デザートは「別室のソファーのあるところでゆっくり召し上がっていただくこともできますが?」と案内してくださいました。 「ラインナップ」を見学していたことも覚えていて、「緊張しました」とおっしゃっていました。 少し話が長引くとソファに座っている私たちを見下ろす形になってしまいますので、必ずひざをついて目線を下げるようにしているところが「徹底されているな~」と感心しました。 本当は「ラインナップ」の時間には、もうひとつ「自分のトピックス」を発表す時間があるそうです。 「昨日は時間がなくてできませんでしたが・・・」・と教えてくれました。 話題は何でもよくて、自分が興味をもっていること、最近感じたこと、などを短い時間で発表するのだそうです。 これは、お互いの感性を理解しチームワークを高める上でとてもよい仕掛けだ、とまたまた感心しました。 荷物をホテルに預け、大阪の街で半日過ごした後、ホテルにもどり関西空港行きのバスが出るまでの時間をまたザ・ロビー・ラウンジで過ごしました。 カクテルを頼んだときに出てきたオリーブがとてもおいしいので、「ホテルのブティックで買えますか?」と伺ったところ、レストランの手作りだそうで残念ながら販売はしていないとのことでした。 がっかりした私の顔をみてウェイトレスの方が「よろしければもう少し持ってきましょうか?」と聞いてくださって嬉しかったです。 次回はもっとゆっくりステイを楽しみに、皆さんお勧めのアロマ・マッサージも試すためにザ・リッツ・カールトンに帰りたいと心から思いました。 <セミナーでの桧垣さんのコメントやQ&A> (全てをメモしてきませんでしたので 抜けているところも多いのですがご容赦ください。) ●価値観について 社内にルールがあるとすれば価値を実践するもの以外にない。 満ち足りた幸福感や密接なコミュニケーションを大切にしている。 スタッフはお互いを尊重する。人種や話すことばが違っても価値観が共有できていればOK 従業員同士があいさつすることができる環境かどうかがとても大切。 コストはお客様のニーズがわかっていればかえってかからない。 少しのコストでも口コミをしてもらえれば広告宣伝費がかからない。 ●採用のプロセスについて 共感する資質があるかどうか 向上心があるかどうか 人の言葉に素直に耳を傾けることができるかどうか 考え方を見た上で採用する。 2日間のオリエンテーションはクレド 価値観のみ学ぶ。 「デイ21」ではオリエンテーションんで学んだことを再度確認する。 選んで採用しているので、そのスタッフがもしも誤った行動をとったとしても、コミュニケーションを図りながら解決することができる。=人の言葉に素直に耳を傾けることができる人を採用している。行動心理学に基づき、実際にリッツ・カールトンで成功している社員が持ち合わせる共通の資質をもとにつくられた一連の質問を通して見つけ出すもの。 認定を受けた面接官しかできないインタビューである。 ●桧垣さんのチームの仕事は? (1)クウォリティーの定着 (2)問題解決手法のトレーニングや改善のためのプロジェクトに関わることもある (3)データの分析・SQIやJDパワの満足度調査結果の社内へのフィードバック 会社としてビジネスにおいて成功するためにはやはり数字で結果を残さなければならない。マネジメントの評価基準は当然顧客満足度の結果も対象になっている。 ●問題解決6つのステップ (1)問題を明確にする (2)分析する。QCのフィッシュボーンなども利用することもある。 (3)解決策を生み出す。(ブレインストーミングなど) (4)解決策を選んでプランニングする。 (5)実行・導入 (6)評価する。 特に(1)~(3)のプロセスに時間をかける。 ●MB賞を受賞したときのフィードバックレポートには何が指摘されていたのか? 内部的なプロセスの更なる向上が求められており、具体的には新しいピラミッドでも、仕事の手順など内部プロセスの向上がとりあげられている。