はじめに

  • 昨今、「働き方改革」が注目され、長時間労働を是正して労働生産性を上げる取組みや、テレワークの導入などを多くの企業で取り入れ始めています。一方で企業が抱える人材採用・定着の問題。特に優秀な若手の採用・定着は課題となっています。若者が求める、あるいは若者に求める理想の働き方とはどんなものでしょうか?平成の時代が始まったころはTVCMの影響で「24時間戦えますか!」という言葉が流行したように、会社や上司が描く理想の働き方は「夜遅くまで残業しバリバリ働きながら成果を出す人」だったかもしれません。しかし時代の移り変わりと共にこうした働き方が見直されてきました。ではどのような働き方が理想なのでしょうか。ICPEは時間と成果という要素を組み合わせ、「残業ゼロで成果を出す人」と定義してみました。残業ゼロで成果を出す人の働き方。それは「目指したいことや、やりたいことが明確で、その実現に向けて計画し、実行することで、お客様やお取引先から喜ばれている。」こうした姿ではないかと考えました。こうした働き方において、ICPEが大切に思うことを4つに絞ってご紹介します。一つ目は「お客様に喜ばれる仕事をしよう」ということです。私達は就職活動をする時には自分がやりたいことや働きたい会社を選びます。つまり自分のために仕事を探し、選んでいきます。しかし就職先が決まり実際に入社すると、仕事は自分のためでなくお客様のお役に立つために自分の時間と技術やノウハウ、知識を活用することです。そのためには自分本位ではなく、常にお客様や相手のことを思う気持ちが必要です。お客様や相手がどうしたらたくさん喜んでくれるかを考えながら仕事をする。このことを、私達はちょっと難しい言葉で「顧客本位」と呼んでいます。二つ目は「他人との違いを磨こう」ということです。お客様のお役に立つためには、お客様に選ばれることが必要です。選ばれるためには他の人と違う何かが必要です。もしその何かが100万人に一人にしかできないものであったとしたら・・・お客様から引手あまたになりますね。元リクルートの藤原和博さんは、ひとつのことに一万時間くらいかければ100人に一人くらいの能力は得られると仰っています。例えばひとつのことに1日平均4時間を投入したとしたら、一万時間を4時間で割ると2,500日という答えがでます。そしてそれを365日で割ると、おおよそ7年という数字が出てきます。この7年という数字を長いと判断するか、短いと判断するかはあなた次第ですがひとつのことをやり続けることで他人と違う自分が少しずつ、つくられていきます。さらに藤原さんはこう言っています。ひとつの違いを得たら、二つ目の違いを手に入れるため7年間やり続ける。そうすると100人に一人の違いが二つになり、100人×100人で一万人に一人の人材になっています。さらにそこから三つ目の百人に一人の違いを身に着けると、100人×100人×100人で百万人に一人の逸材が誕生です。まさに人財20年の計ですね。他人との違いは多様であると同時に深さの違いであるとも言えます。何か特別なことをするのではなく、今がんばりたいことを徹底的に続けること、それが他人との違いに結びついていきます。このことを、私達はちょっと難しい言葉で「独自能力」と呼んでいます。三つ目は、「成長を実感する」ということです。成長を実感する前に私たちが仕事でもスポーツでも力を発揮できるのは緊張しているときよりも、リラックスしているときだと思います。緊張していると頭の中が真っ白になり、思うように体が動かない、こんな状況をみなさんも経験があるのではないでしょうか。仕事で結果を出していくためにはリラックスすることが必要です。そのためには、まず肩の力を抜くことからはじめてみましょう。仕事に不慣れで心も体も緊張した状態では、自分が持っている力を発揮することはできません。

    成長するためには、成果や生産性を考えず、慣れるべき作業に長時間費やしてもいい環境をまず確保することです。会社は若いみなさんが失敗から学べるように色々と配慮しているはずです。こうしたことには十分甘えましょう。このように若い時に大目に見てくれたことへの恩には、成長してから少しずつ会社に還元していけばいいのです。しっかりと成長し続ける。このことが若いみなさんが会社から求められていることです。

    「わかる」と「できる」は違います。何度も何度も大きな声で挨拶する練習をするから、体が覚えるのです。繰り返し資料を作成するから、資料作りのコツを覚えるのです。一度にいろいろなものを覚えようとせず、どんな小さな作業も「できる」まで長時間やり続けることが大切です。こうして成長を実感しながら大樹の年輪のように少しずつ成長していくことを私たちはちょっと難しい言葉で「社員重視」と呼んでいます。

    四つ目は「社会や周りの人々の困りごとに関心を持つ」ということです。社会起業家という言葉があるように最近は社会の困りごとを解決することを目的に事業を起こす人が増えてきています。自分がうまくいっていれば、あるいは自分の会社がうまくいっていれば「それでいい。」という考え方はもしかしたら古いのかもしれません。自分が生活している地域や街、あるいは地球全体がよりよい環境になるために微力だけど貢献していく。そのような働き方が時代の波に乗った働き方かもしれません。大きなことを考えず、まずは身の回りで起きている困り事や課題に関心を持つことからスタートです。そして困っている人がいたら、何に困っているかを聴いてあげるだけでなく、困っているという気持ちに共感し、そっと寄り添ってあげることができたら、その人はそれだけでずいぶん気持ちが落ち着き、前に向けて一歩踏み出せるのではないでしょうか。地域や人々の困り事や課題に関心を持つことを私たちはちょっと難しい言葉で「社会との調和」と呼んでいます。

    経営品質とはこの「顧客本位」「独自能力」「社員重視」「社会との調和」の要素を含めた目指す姿を明らかにし、その実現に向けて活動をしていくことです。目指す姿は組織でも描けますが、個人でも描くことができます。みなさんだったらどんな目指す姿を描きますか。目指す姿を描き、その実現のために行動する。ICPEではこれこそが時代の波に乗る働き方だと考えています。

    こうした働き方をする若者がたくさん増えていくこと、そうしてこうした若者がたくさん集う組織をつくること。そのために私たちは様々なサービスを企画し展開していきます。

    若いみなさん、一緒に学びましょう。企業のみなさん、一緒にこうした組織づくりを目指していきましょう。

基本理念と重視する考え方

  • 「目指す姿・基本理念・重視する考え方」

    経営品質の向上とは、組織が継続的に経営革新に取り組み、「卓越した経営」を「目指す姿」としています。
    「抜きんでる」「際だつ」というニュアンスに近いものです。特に「独自性」を重視しています。平均的や平凡な考え方や方法ではなく、独特で他に類を見ない考え方ややり方を創り出すことを目指します。
    そのためには、経営を革新するための考える枠組みが必要です。それがアセスメント基準書です。
    このアセスメント基準書は、組織を変革するための「思考の枠組み」を提供しております。
    前提となる価値観をまとめたものが、「基本理念」です。
    経営を革新する際に、経営のプロセスやシステムを検討します。その際にどのような「考え方」を用いるかということに直面します。その際に「答え探し」ではなく、「こう考えてみてはどうだろう」という「問い探し」が望まれます。その問い探しに役立つ考え方をまとめたものが「重視する考え方」です。
    この「目指す姿」「基本理念」「重視する考え方」で経営革新を進めていただきたいと思います。

「基本理念の4要素」

  • ・顧客本位:目的は顧客価値の創造。価値の基準を顧客からの評価におく
  • ・独自能力:組織の「見方」「考え方」を学習して独自能力を獲得する
  • ・社員重視:組織内の全ての人がオーナーシップを持って創造性を発揮する
  • ・社会との調和:社会に貢献し、社会から信頼される

「9つの重視する考え方」

  1. コンセプト
  2. 変革
  3. 価値前提
  4. プロセス
  5. 創発
  6. 対話
  7. 戦略思考
  8. ブランド
  9. イノベーション

組織の「あるべき姿」や「望ましさ」を明確にし、事実として存在する様々な経営事象を「あるべき姿」から認識し、最前の意志決定を行おうとする「価値前提」による意志決定を強調しています。

フレームワーク

経営品質を向上するには、どの組織にも共通してあてはめられる枠組みを用いて経営全体をアセスメントすることが大事です。それが「フレームワーク」です。「組織プロフィール」と「8つのカテゴリー」で構成されています。「組織プロフィール」とは、8つのカテゴリーの基盤となる位置づけです。組織の「理想的な姿」に対して、提供価値、顧客、競争、経営資源について、現状と環境変化を整理して、変革の方向性や経営課題を明らかにするものです。

「カテゴリー」は、どの組織にも共通する経営全体を見る要素を8つに分類したものです。それぞれのカテゴリーから経営活動の状態を多面的に評価するとともに、カテゴリー間のつながりも見ることで、複雑な要因が絡み合う課題を多様な視点で深く掘り下げることができます。 各カテゴリーには、さらに区分された17のアセスメント項目で構成されています。実際の審査におけるアセスメントは、このアセスメント項目単位で実施することとしています。

全体を表すものが下の図です。各カテゴリーの()内は、1000点満点の配点です。アセスメントを行うことで、「組織の成熟度」がわかるとともに、点数化することが可能です。

「基本理念」や「重視する考え方」を使って「理想的な姿」を具現化するためにこの「フレームワーク」を使ってアセスメントを行います。アセスメントは経営の実務を評価するのですが、常に「基本理念」や「重視する考え方」をふまえて思考や対話をすることが大切です。実務を、概念に立ち返ってアセスメントする「理論的な整合性」が重要です。

その一方で、「概念構成」という理論が重要でも、実際の経営資源や環境を考えると実務上実行が難しい場面もあります。アセスメントは結果を行動に移し、成果をあげることが大切です。「実務につながらない」ことは意味がありません。実務上無理はないかという「実務的妥当性」を検証することもあわせ大切なことです。